七夕の短冊の願い事が叶うのはなぜ?色とおまじないの方法

2017/01/01

七夕といえば短冊です。
短冊に願い事を書いて竹につるした経験は、日本人ならどなたにもあるはずです。

でも、なぜ短冊に願い事を書くと叶うのか、不思議に思ったことはありませんか?
また、「五色(ごしき)の短冊」とは言うけれども、それは何色で、それぞれの意味があるのでしょうか?

七夕の願い事が叶うおまじないも含めて紹介していきます。

 

七夕の短冊に願い事を書くと叶うのはなぜ?

七夕の由来として有名な話は「織姫と彦星が年に1度だけ逢える日」という織姫伝説ですよね。

織姫伝説とはこんな話

六朝・梁代の殷芸(いんうん)が著した『小説』にこんなものがあります。

天の河の東に織女有り、天帝の子なり。年々に機を動かす労役につき、雲錦の天衣を織り、容貌を整える暇なし。天帝その独居を憐れみて、河西の牽牛郎に嫁すことを許す。嫁してのち機織りを廃すれば、天帝怒りて、河東に帰る命をくだし、一年一度会うことを許す。

天河之東有織女 天帝之女也 年年机杼勞役 織成云錦天衣 天帝怜其獨處 許嫁河西牽牛郎 嫁後遂廢織紉 天帝怒 責令歸河東 許一年一度相會

『月令廣義』七月令にある逸文

おお、これこれ!

漢文なんかで見ると難しそうだけど、結局

織女が若いのにおしゃれもせずにせっせと機織りしているので、
お父さんの帝が牽牛郎を紹介したらラブラブになっちゃって
2人とも仕事もしない。
それでお父さんが怒って2人を引き裂いた。
でも可哀想だから1年に1度は逢ってよいことになった。
 

っていう、あのよく知っているお話です。

これがお空の織姫と彦星になって、天の川(ミルキーウェイ)の対岸に位置しているなんて、本当ロマンチックでステキです!

でも・・・・、恋愛成就?というにはちょっと悲しいし、
なんでこれが「願い事が叶う日なの?」

もともとは乞巧奠(きこうでん、きっこうでん)という
機織りや手芸の上達を願うお祭

唐には昔から、女性の機織りの腕が上がるように乞巧奠という行事がありました。
「乞巧奠」は(きこうでん、きっこうでん、きっこうてん、きぎょうでん)などと読みます。
この行事が日本に伝わって、宮中や貴族の家で行なうようになったんですね。

宮中では、清涼殿の東の庭にむしろを敷いて、その上に机を4脚並べて果物などを供え、ヒサギの葉1枚に金銀の針をそれぞれ7本刺して、五色の糸をより合わせたもので針のあなを通す、ということをやっていたそうです。

この晩は灯明を捧げ、一晩中お香を焚きしめて、天皇が牽牛と織女の逢瀬をお祈りしたということで、なんとも風情のある催しですね。

このように唐の「乞巧」が七夕の日に織女と牽牛が逢う二星会合や詩歌・裁縫・染織などの技芸上達が願われるようになったので、それが江戸時代には手習い事の願掛けとして一般庶民にも広がったというのです。

七夕に願い事をするという背景

織女と牽牛の伝説は『文選』の中の漢の時代に編纂された「古詩十九首」に初めて出てくるそうです。
でも、この時点ではそれが7月7日だったかは不明です。

その後、南北朝時代の『荊楚歳時記』には、まさに「7月7日」。
この日が牽牛と織姫が会合する夜であると明記されており、さらにその夜に婦人たちが7本の針の穴に美しい5色の糸を通し、捧げ物を庭に並べて針仕事の上達を祈ったということが書かれています。

おお、まさに「乞巧奠(きこうでん)」のことですね。

つまり、これで、7月7日に行われていた乞巧奠と織女牽牛伝説が関連づけられて、今に至っていることがわかります。

で、昔の貴族といえば「和歌」ですね。
ほら、源氏物語などでも、平安の貴族が和歌を詠んでお姫様に求愛するシーンなどがよく出て来ます。

このとき、和歌用の紙に書くこともあるんですが、風情よろしく庭のお花を手折って、その葉っぱに歌を書くなんてこともしていたわけです。

そして、歌詠みの日などには、この葉っぱや色紙を枝に飾ったりもしていたので、墨を擦って和歌を書くのは和歌や習字の上達祈願にもつながったのですね。

また『平家物語』を読むと、貴族の邸ではお願い事をカジの葉に書いたというくだりもあります。

七夕に願い事をするという背景には、こんな由来があるのです。

 

七夕の短冊の願い事で色ごとの意味

さて、七夕といえば、あの有名な歌「たなばたさま」です。

★たなばたさま★

「うたのほん下」に掲載=1941年(昭和16年)発行
作詞:権藤花代 補作詞:林柳波 作曲:下総皖一

 
 ささの葉 さらさら のきばに ゆれる
 お星さま きらきら きん ぎん 砂子

 五しきの たんざく わたしが かいた
 お星さま きらきら 空から 見てる

あぁ懐かしい!
子供の頃よく口ずさんだものです。

七夕に竹と笹の葉が使われる理由

ところでこの歌に出てくる「ささの葉 さらさら」って、竹の笹の葉のことですよね。

なんでいきなり「竹」「笹」???

そもそも竹は根が強靱で生長が早いというのが特徴です。
そして、節と節の間が空洞になっていて、そこに神霊が宿るといわれているとても神聖な植物なのです。
そういえば、かぐや姫もこの竹の空洞部分に入っていたのですよね。

だったら、他の木の枝に短冊を飾るより、神様が宿っている竹の方がいい!
直接笹の葉に願い事を書いた方が、願い事も叶うというものです。

それに竹は強いし、しなやか。
七夕の飾りには短冊以外にも吹き流しやくす玉など、いろいろな意味の飾り物をします。それが初夏の風に揺らぐ風情は竹ならでは。

それで「願い事」も色紙(短冊)に書いて、竹に飾るようになったのです。

五色(ごしき)の短冊の由来

それでは、なぜ「五色(ごしき)の短冊」なのか?

そうです。乞巧奠で7本の針に刺す糸は5色でしたね。

「五色の短冊」は、「青・赤・黄・白・黒」の5色を使います。

これは、陰陽道での「五行説」を元にしていて、自然界は、木(もく)、火(か)、土(ど)、金(ごん)、水(すい)の5つの要素で成り立っているというものです。
5つの要素が循環することによって万物が生成され自然界が構成されているという考えで、それぞれの色の意味は以下のとおりです。

  ・青 =(木行)「礼」
     周囲への感謝と自分の人間力の向上
     「多くの人の役に立てますように」
     「○○が習得できますように」など
  ・赤 =(火行)「仁」
     先祖や両親への感謝
     「両親がいつまでも元気なように」
     「祖母が長生きしますように」など
  ・黄 =(土行)「信」
     人間関係の向上を願う
     「お友達がたくさんできますように」
     「仲良くできますように」など
  ・白 =(金行)「義」
     自分で決意を守り抜く
     「ダイエットが成功しますように」
     「禁煙できますように」など
  ・黒 =(水行)「智」
     学業や業績の向上
     「○○に合格しますように」
     「売上が上がりますように」など
 

黒は紫に代えてもよいようです。

 

七夕の願い事がきっと叶うおまじない

ところで、七夕の願い事が叶う「おまじない」があるって知っていましたか?

それは、願い事を「将来のこと」として「~しますように」と他力本願に書くのではなく、「(自分は)~する!」「(自分は)~なる!」というように、自らの強い意思で書くということです。

そうすると、さきほどの例示も変わってきますね。

・「○○が習得できますように」⇒「○○を習得する!」
・「ダイエットが成功しますように」⇒「ダイエットを成功させる!」
・「○○に合格しますように」⇒「○○に合格する!」

うん!この方が断然、願いが叶いそうです。

5色の短冊に書く七夕の願い事は、「神様にお願いする」というよりは「神様に自分の意思を伝える」とか「あるべき姿を断定する」と考えたら良さそうですね。

 

まとめ

さて、七夕の短冊に願い事を書くと叶うというその由来や意味がわかりましたか?

今年の七夕は、是非「五色の短冊」にあなたの願い事を「意思の表明」の形で書いてみましょう。

きっとそのおまじないがあなたを勇気づけ力づけて叶うようになるでしょう。


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