お盆の精霊馬とは 地域による違いと作り方と処分方法

2017/01/01

お盆の精霊馬(しょうりょううま)とは何かまたそれを飾る理由や由来をご存知ですか?

精霊馬とは、キュウリやナスなどの野菜でできた動物(馬と牛)のことです。

この精霊馬は何のためのものなのか、また地域による違いはあるのか?気になりますね。

精霊馬の作り方はとても簡単ですので、今年はこの精霊馬について語りながら、子供と一緒に精霊馬を作ってみましょう。
また正しい処分の仕方もお教えします。

 

精霊馬とは何?

精霊馬とは、お盆の時期に飾られる、ナスやキュウリを使って作られた動物(馬と牛)のことです。

作り方は簡単で、なすやきゅうりに割り箸や爪楊枝を4本差すだけです。
この割り箸やつまようじが牛や馬の足となります。

この人形は、お盆にご先祖様をお迎えしたりまたお送りするときの乗り物なんです。

神霊が移動するための乗り物と思うとちょっと怖いですが、大切で懐かしい故人の神霊を迎える大切な準備品の一つです。

江戸時代の秋田県の例として「出羽国秋田領風俗問状答」には、
迎え火を焚くときに、精霊に向かって

大爺な、大婆な、馬こにのりて、牛(べこ)こにのりて、
明るいに来たふらへ来たふらへ
 

と呼びかけるとあり、やはりこの馬と牛に乗って、神霊のお迎えとお見送りをしていたのがわかります。
歴史的には、野菜ではなく藁で作っていた時代もあるようです。

そして、いつ飾るのかというと、一般には、迎え盆の日に盆棚にお供えしますが、早くからは七夕から飾る場合もあります。

馬と牛があるので、牛の方は精霊馬と区別して「精霊牛」と呼ぶ地域もあります。

 

お盆の精霊馬は送り盆か迎え盆か地域による違い

それでは、なぜ、精霊馬には馬と牛と2種類の動物がいるのでしょうか?

精霊馬が馬と牛2種類の理由と意味

キュウリの方が「馬」です。
馬は駆けるととても足が速いですね。

だから、ご先祖様にあの世からこの世に早く戻ってきてくださるように、足の早い馬をご用意するのです。

そして、ナスの方が「牛」です。

牛は馬に比べて足が遅いです。
なので、ご先祖様があの世にお帰りになるときには、なるべくゆっくりと進んでいくようにと、わざと足の遅い牛をご用意するのです。

また、この世からのお供え物をたくさんお持ち帰りいただくにも、牛に乗せて行けばいいですね。

地域による精霊馬の違い

ただ、この時期や意味が地方によって変わっています。

北海道から中部日本までの地域

北海道から中部日本までの多くの地域では、精霊馬を作って飾るのは「送り盆」(16日)です。

つまりお迎え用の動物はなく、お帰りの時用のために用意するということです。

関東地方の地域

関東地方では「迎え盆」(13日)に精霊馬を作ってお迎えします。

馬と牛の「迎え盆用」「送り盆用」の違い

また、馬と牛のどちらが「迎え盆用」で「送り盆用」なのかというと、これも地域によって異なります。

ほとんど「ご先祖様を早く迎えるために迎え盆には馬に乗っていただき、帰りはゆっくり帰っていただくために牛にする」というのが一般的ですが、逆に「ご先祖様を丁寧に迎えるために牛に乗っていただき、帰りは急いで帰っていただくために馬にする」という地域もあります。

後者は、初盆でまだ十分に鎮魂されていない新精霊に対する恐怖感があるのかもしれませんね。

 

お盆の精霊馬のかっこいい作り方

さて、その「精霊馬」。

まず、基本的な作り方をおさらいしましょう。

基本的な精霊馬の作り方

材料の準備と作り方は先にも書いたようにとっても簡単!

精霊馬の材料

•キュウリ・・・・・・・1本
•ナス・・・・・・・・・1本
•割り箸・・・・・・・・2膳
•または爪楊枝・・・・・8本

茄子や胡瓜は、ただまっすぐなものより、ちょっと曲がったものの方が馬や牛の雰囲気がよく出ます。

ナスやキュウリが大きい場合には割り箸を、小さい場合には爪楊枝を利用するとよいでしょう。

精霊馬の作り方

1.割り箸を使う場合は、半分に割って、
  その1本づつを半分の長さにカットする。
2.これが足となるので、2匹分で8本になる。
  爪楊枝の場合はそのまま8本用意する。
3.ナスやキュウリの足としてちょうどよい位置に
  割り箸や爪楊枝を差す。
  長さが長い場合には短く切って調整する。

このようにして形よく馬と牛ができ、きちんと立てば完成です。

精霊馬の置き方

精霊馬を飾るときには、置き場所にも気をつけましょう。

精霊馬の正しい置き方は、お迎えのときには仏壇に向けて送るときには仏壇の外に向けて配置します。

いまどきのかっこいい精霊馬

「精霊馬」で画像検索したら驚きました。

今ではこんなカッコイイ改造版の精霊馬もあるんですね。

確かにこれならご先祖様を楽にスピーディにこの世にお迎えできそうです。

昔からのご先祖様は驚かれてしまうかもしれませんが、故人がお若い方や、バイクや車などがお好きだった方にはよい供養にもなるかもです。

このような斬新な精霊馬を飾る場合には、「悪ふざけ」という意味ではなく、「故人が好きだった」点を重視して、回りの方にもよく説明しておくとよいでしょう。
大事なのは、故人を偲んで大切に思う気持ちですね。

作り方も基本は同じですので、気に入った画像があったら構造をじっくり見てチャレンジしてください。

 

精霊馬の処分の方法

さて、精霊馬はどうやって処分したらよいのでしょう。
ご先祖様のために作ったものですから、捨て方としては、ただゴミとしてしまうわけにもいきません。

昔は、お供え物と一緒に海や川に流すというのが一般的でした。
また土に埋める場合もあります。

でも、現代においては勝手に川や海には流せません。
一戸建てで広い庭や農地があれば埋めるのもいいですが、マンション暮らしの場合などは困ってしまいますね。

1つの方法は供養をお願いしているお寺さんに処分をお願いすることです。

でも、そこまでしなくても大丈夫!

海や川や庭も供養してくださるお寺さんもない場合には、

・半紙に包んで処分する
・塩で清めて処分する
 

このようにして処分すればよいのです。

一般に他のお供え物は、お供えの後、親族みんなでいただきますが、精霊馬についてはご先祖様をお送りしているので単に食べるというわけにはいかないようです。

また、夏場に数日間飾っていますので、やはり食用は控えた方がよいでしょう。

 

まとめ

さて、お盆に準備する精霊馬の種類と意味はお分かりいただけましたか?

大切なご先祖様が道中無事に少しでもご負担なく楽に来ていただき、またお帰りになれるように、今年は精霊馬を用意してみましょう。

作り方は簡単です。

地域や宗派などによって時期や種類、また処分の方法が違う場合がありますので、こういうときにおじいさんおばあさん、ご近所の老齢の方などにいろいろお話を伺うといいですね。


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