認知症の種類と割合 初期症状チェックで治療改善も見込めます
2017/01/01
認知症とひとくちに言っても、実はいろいろな種類があります。
原因が違うのでその症状もさまざまに違います。
ここでは代表的な認知症の種類と割合、そしてその典型的な初期症状をお知らせしますので、ご家族の状態をチェックしてみましょう。
認知症は治らないと思っている方も多いですが、種類によっては手術で治療改善が見込めるものもあります。
ぜひ参考になさってください。
認知症の種類とその割合
認知症とは、脳の神経細胞が何らかのダメージを受けたことで現れる「症状」のことです。
そのため、原因もさまざまですし、認知症の種類もいろいろあります。
ここでは、まず、代表的な認知症の種類とその統計割合を見てみましょう。
代表的な認知症の種類と割合
現在、日本で認知症を患っている方々の現状は以下の通りです。
認知症の種類と割合
- アルツハイマー型認知症・・・56%
- レビー小体型認知症・・・・・17%
- 血管性認知症・・・・・・・・10%
- 前頭側頭型認知症・・・・・・・7%
- 突発性正常圧水頭症・・・・・・5%
- その他・・・・・・・・・・・・5%
認知症の種類ごとの特徴と初期症状チェック
それぞれの特徴や初期症状 を見て、ご家族の症状に適合するものがないか、チェックしてみましょう。
「アルツハイマー型認知症」の特徴と症状
アルツハイマー型認知症とは、特殊なタンパク質が脳にたまり、そのために神経細胞が徐々に減少して脳全体が委縮していく病気です。
「アルツハイマー型認知症」の主な症状
- ついさっきのことや単語を思い出せない
- 今現在の場所や時間がわからない
- 注意力が低下する
アルツハイマー型認知症は、認知症の中でも一番多く、約半分以上の割合です。
この病気の特徴は、ついさっきの出来事を忘れてしまうような記憶障害があり、例としては食後に「まだ食べていない」と言い出したり、「お金や大切なものを盗まれた」と言い出したりします。
また、同じ質問を何回も繰り返し尋ねたり、今さっきやったことをまた繰り返したりします。
このアルツハイマー型認知症は、女性に多いのが特徴です。
「レビー小体型認知症」の特徴と症状
レビー小体型認知症とは、レビー小体という特殊なタンパク質が脳に溜まって、そのために神経細胞がダメージを受ける病気です。
「レビー小体型認知症」の主な症状
- 実在しない人や虫などの幻覚が見える
- 手足が震えて、小刻みに歩くようになる、動きが遅くなる
- 寝ているときに異常行動をしたり、抑うつ症状がある
レビー小体型認知症は、近年になって発見された病気です。
もの忘れはそれほどないものの、逆に実在しないものが見えるという幻覚症状があります。
また手足に震えが出て、日によっては集中力にかけるなどその差が顕著に目立ちます。
このレビー小体型認知症は、男性に多いといわれます。
「血管性認知症」の特徴と症状
血管性認知症とは、脳卒中が原因で、脳の神経組織がダメージを受けてしまう病気です。
そのダメージを受けている場所や程度で、症状が様々に異なります。
「血管性認知症」の主な症状
- 食欲が低下する
- 喜怒哀楽が激しく、急に怒ったり泣いたりする
- 手足が麻痺する
血管性認知症も男性に多いといわれる病気です。
この病気はダメージを受けている場所や程度によってその症状も異なりますが、「もの忘れは激しいけど判断力はある」など、できることとできないことの差が明確な場合が多いです。
手足の麻痺や言語障害が起こる場合があります。
「前頭側頭型認知症」の特徴と症状
前頭側頭型認知症とは、脳の前頭葉や側頭葉が委縮していろいろな症状を出す病気です。
「前頭側頭型認知症」の主な症状
- 急に性格が変わったかのような言動をする
- 単語がなかなか思い出せない
- 常識や周囲に配慮しない
前頭側頭型認知症は、その言動に変化が見られます。
急に性格や人格が変わってしまったかのような言葉遣いや行動をしだし、お店で代金を払わずに商品を持ってくる万引きのような問題行動をしたり、協調性のない衝動的な言動をしたり、日常の習慣に強いこだわりを持つなどの症状が出ます。
65歳以下の若年層でも発症することも多い若年性の病気です。
「突発性正常圧水頭症」の特徴と症状
突発性正常圧水頭症とは、脳室に髄液が溜まることで脳の機能が低下してしまい、発症する病気です。
「突発性正常圧水頭症」の主な症状
- すり足で小刻みに歩く
- 物忘れが増え、意欲や集中力が低下する
- 頻尿で、尿失禁をする
突発性正常圧水頭症は、歩行障害・認知症状・尿失禁の3つを主な症状とする脳の病気です。
初期症状として、まずすり足で小刻みに歩き、つま先が外側を向くといった歩行障害が見られます。
70歳以上の方の発症が多い病気です。
認知症で手術によって治療改善できるもの
さて、これらの認知症は「年寄りだからしょうがない」「認知症は治らない」などと思われがちですが、現在は様々な検査方法がありますので、やはり早期の初期症状の段階で、病院の医師に相談し診断してもらうのがよいでしょう。
また、認知症の中では手術によって改善できるものもありますので、ご紹介します。
「突発性正常圧水頭症」は手術で治療改善できる
前述最後の「突発性正常圧水頭症」は、認知症全体の約5%、現在全国で30万人以上の患者数があると推測されている病気ですが、これは手術で改善できる認知症です。
詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
参考 ⇒ ★ 認知症が手術で治る?!iNPHその種類と検査や治療方法
認知症は諦めずに医師に相談
この「突発性正常圧水頭症」はもちろん、その他の認知症でも薬によってその症状の進行を遅らせたり緩和したりできるものがあります。
それには、まずご家族が「高齢者の認知症はしょうがない」などとあきらめずに、早めに医師に相談することです。
上記の特徴的な症状をチェックして、心あたりがある場合には、専門医に相談して検査を受けるようにしていきましょう。
認知症 種類 のまとめ
認知症の種類は本当にさまざまです。
必要なのは、そのような心配を感じたときにすぐに医師に相談することです。
認知症の割合や、それぞれの病気の特徴や初期症状を再度チェックして、少しでも心当たりがあれば治療していきましょう。
手術によって改善できる症例もあるので、希望を捨てずに行きましょう!