認知症が手術で治る?!iNPHその種類と検査や治療方法
2017/01/01
認知症は、一般に完治するのは難しく、簡単に治る病気でないことはよく知られています。
でも「高齢者だからしかたない」と諦めるのはまだ早いです。
昨今の研究で、認知症でも手術によって改善する病気の種類がわかってきました。
その改善率が約8割から9割というからすごいですね。
でも、それはどんな種類の認知症で、どんな検査方法や治療方法をするのでしょうか?
ここでは、その「髄液タップテスト」や「シャント手術」について説明します。
認知症が手術で治る病気の種類
ひとくちに認知症といっても多種多様な病気と症状がありますので、まず、その種類と割合については、こちらをご参照ください。
参考 ⇒ ★ 認知症の種類と割合 初期症状チェックで治療改善も見込めます
「突発性正常圧水頭症(通称iNPH)」は手術で治る
認知症が手術によって治るというのは、「突発性正常圧水頭症(通称iNPH)」という認知症です。
人間の脳の中や表面には髄液が流れていますが、そのバランスが崩れて脳室にこの髄液が溜まってしまい、脳の働きが低下すると、この突発性正常圧水頭症が発症します。
認知症は治療や改善が難しいとされている病気ですが、その中でもこの突発性正常圧水頭症は手術による改善が見込めますので、まず、ご家族の方の症状がこの病気に当てはまるか、チェックをしてください。
「突発性正常圧水頭症(通称iNPH)」の症状チェック
突発性正常圧水頭症は、「歩行障害」「認知障害」「尿失禁」、この3つの症状が重なるという特徴がありますので、この様子を見て判断できます。
歩行障害の症状チェック
- 足が上げづらい
- すり足で小刻みに歩く
- 足を開き、身体が後ろに傾いた不安定な歩き方をする
- つま先が外側を向く
- 方向転換でふらつき、よく転ぶ
- 最初の1歩がなかなか出ない
- 歩けない
- 立つと不安定になる
まず、この歩行障害があるかをチェックしてみてください。
認知障害の症状チェック
- 元気や意欲がない
- 習慣になっていることをしない
- 集中力がなく、ボーっとしている
- 物忘れがひどい
- 自発性がない
認知障害は他のアルツハイマーなどの認知症でも現れますが、この症状も要注意でチェックしましょう。
尿失禁の症状チェック
- 頻尿ですぐに尿意を感じる
- よく尿失禁をしてしまう
そして、尿漏れや失禁の頻度を確認します。
この中の1つだけというのであれば高齢による状態の変化や他の病気も考えられますが、「歩行障害」「認知障害」「尿失禁」の3つがどれも当てはまるということであれば、それは「突発性正常圧水頭症(通称iNPH)」である可能性が高いです。
そして「突発性正常圧水頭症(通称iNPH)」であれば、手術によってその症状は改善し治る可能性がありますので、ぜひ、専門医に相談してみましょう。
認知症iNPH(突発性正常圧水頭症)の検査
それでは実査に、突発性正常圧水頭症の検査はどのように行われるのでしょうか?
突発性正常圧水頭症で行われる検査
突発性正常圧水頭症の検査は、一般に次のような検査となります。
突発性正常圧水頭症の検査
- 問診
- 歩行検査
- 認知機能検査
- 画像診断(CT、MRI)
- 髄液タップテスト
髄液タップテストとは
髄液タップテストとか聞くと、なにかとても大がかりで怖い検査のような気がしますが、そんなことはありません。
髄液タップテストとは、CTやMRIの画像診断で脳室の拡大が認められたときに行う検査で、少量の髄液を抜くだけの15分程度で終わる簡単な検査です。
身体への負担も軽いので、心配なく受けられます。
認知症iNPH(突発性正常圧水頭症)の手術と治療
「髄液タップテスト」を行い、その結果、突発性正常圧水頭症(iNPH)の症状が改善するようであれば、「シャント手術」を行います。
「シャント手術」とは?
「シャント手術」とは、「髄液タップテスト」で改善した効果を持続させるために、脳室に溜まった髄液を髄液を、お腹にチューブで流す手術です。
脳の手術というと嫌がる人や拒否する人も多いので、最近では、精髄経由で腰から髄液を流す手術も増えています。
「シャント手術」の効果とその後
このシャント手術による治療の改善効果はとても高いです。
シャント手術による治療には、歩行障害の約90%、認知障害と尿失禁の約80%の改善効果があります。
シャント手術自体は、約1時間程度の手術です。
また手術後の入院も10日から2週間程度の入院で、この間に歩行訓練のリハビリや生活指導などが行われます。
また、シャントチューブの管理などのため、定期健診が行われます。
認知症 のまとめ
治らないと思っていた「認知症が治る」というのは朗報です。
今のところ、手術によって治る認知症の種類は「突発性正常圧水頭症(iNPH)」だけとなりますが、医学の進歩によりどんどん多くの認知症の治療法などが確立していくことでしょう。
認知症は早期発見により、その改善率も高まります。
まずはご家族の方のご様子を見て、少しでも症状に合うものがあれば、早期に検査を受けて治療をしていきましょう。